白髪と言えば、フリーアナウンサーの近藤サトさんが「白髪を隠さないグレーヘア宣言」をして話題になりましたね。
白髪隠さない近藤サトさん「束縛から楽になりすっきり」(朝日新聞 2018年9月14日)
これも一つの選択肢で素晴らしいと思いますが、これが話題になるということは、まだまだ「白髪」は世間の多くの人が隠したい・無くしたいと思っていることの裏返しでもあるでしょう。
これを自然なことと割り切ってしまうか、それでも最後まで抵抗するのか、そもそも抗うことに勝算はあるのか、非常に気になるところだと思います。
ということで今回は、男女を問わず多くの人を悩ませる白髪について、白髪ができる原因・メカニズムなどを海外の専門家の情報を中心にご紹介したいと思います(白髪の予防・改善については触れていません)。
そして、安心してください。海外の人は白髪(Gray hair)を気にしないなんてことは全くなく、白髪は世界共通の悩みで海外フォーラムでも日々議論されています。
参考
白髪について学びましょう
「白髪は黒髪に戻せるの?」「白髪を増やさない方法は?」と気になるところですが、改善にしろ予防にしろ、まずは白髪について詳しく知るところから始めましょう。敵を知り己を知れば百戦危うからず、です。
歳をとることが最大の原因
スタンフォード大学のAnthony Oro教授によると、皮膚科学では「50-50-50の法則(50-50-50 rules)」と呼ばれる「50代の50%は髪の50%が白髪」という法則があるそうです。
これは肌と同じように、髪も加齢による質の変化があるということを意味しています。
ということは、白髪が生えること自体を避けられる人はいないということでもありますね。
民族による違い
コーカサス(白人)は白髪になりやすい傾向があり、中でも赤毛の人は特に早くから白髪になる傾向があります。その次にアジア人、その次にアフリカ系アメリカ人がなりやすいようです。
ただ、その違いがある理由については科学者の研究でも判明していません。
日本人も白髪になりやすい民族であるという残念な事実です。
ストレスも影響しています
「ストレスは白髪の直接的な原因にはなりません。しかし、ストレスは肌や髪の問題にの原因に関係があるとされています。」とノースウェスタン大学のRoopal Kundu皮膚科学部准教授は言っています。
例えば、病気になったとき、髪がすぐに抜けてしまうことがあります。化学療法を受けたあとのようにストレスの多い出来事のあと、髪が抜け落ちてしまい、そのあとに白髪になって生えてくるというようなこともあります。
少し分かりにくいですが、「ストレス自体は白髪の原因ではない」ですが、「ストレスを引き起こす出来事が白髪の原因にはなる」ということですね。
加齢による白髪を黒髪に戻すのは簡単ではありませんが、ストレスに起因する白髪については、単純にストレスを感じている原因を取り除くことで改善することができます(これが簡単ではないというのは別の話です)。
生活習慣による違い
喫煙は肌にも髪にも大きな影響を与えます。
ほうれい線(ゴルゴ線)の記事でも書きましたが、喫煙はシワの原因にもなるので一刻も早く卒業しましょう。
これ以上シワを深くしないで!ほうれい線を予防する方法まとめ
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「ビタミンB12が不足すると、髪が色素を失うという悪影響があります」とニューヨークのモンテフィオーレ・メディカルセンターのKarthik Krishnamurthy医師は言っています。
ビタミン摂取やレバーやニンジンを食べることが推奨されていて、特定のビタミン・栄養素・抗酸化物質を含む食べ物は、細胞を毒素から守り、心臓疾患・がん・その他の病気を予防する効果があるとされています。その中には、きっと白髪予防もあることでしょう。
髪の毛と白髪は別の問題です
毛包幹細胞(hair stem cell)が髪の毛を作り、色素幹細胞(pigment-forming stem cells)が色を作り出しています。通常は一緒に作用しますが、どちらかが働きを止めてしまうことがあります。
白髪は髪の毛を作る働きは続きつつ、色を作る働きが止まってしまったとき、その毛穴から白髪が生えてくるということですね。
研究者は薬品などを頭皮につけることで、白髪の進行を遅くする方法がないかを見つけようとしています。染めることで白髪に色を付けることはできますが、構造そのものを変化させることはできません。
髪はみずからも白くなろうとします
髪を明るい色にする(脱色する)方法として過酸化水素(H2O2)を使うことは有名ですが、それは白髪を作る行為でもあります。
ブリーチ剤は、酸化染毛剤から染料を除いたものでメラニン色素を脱色し髪を明るくする。黒髪を金髪に変える強力なブリーチ剤には、過酸化水素水のほかに酸化助剤として過硫酸塩を配合したものがある。これらの製剤はすべて医薬部外品に分類される。
ヘアカラーリング剤 - Wikipedia
米国実験生物学会連合(Federation of American Societies for Experimental Biology, FASEB)が2009年に公表した内容によると、過酸化水素は私たちの毛包にも自然に存在していて、歳をとるにつれて多くなるようです。
そして、この過酸化水素が多くなることで、髪の色素となるメラニンの生成がブロックされてしまいます。
黒髪が白髪になるわけではありません
一本の髪の毛は1~3年成長して、そのあと抜け落ちます。そして、また新しい髪の毛が生まれます。年齢によっては、そこから生える新しい髪の毛は白色かも知れません。
「髪が新しく作られるときは常に色素を形成する細胞がリフォームされ、それらは使い古されていきます。」(スタンフォード大学 Anthony Oro教授)
要するに、黒髪が脱色して白髪になるというわけではなく、その毛穴(毛包)が色素を作る機能を失ってしまい、新たに生えてくる髪が白髪になるということですね。
白髪は黒髪に比べて粗くはありません
実際には白髪は黒髪よりも繊細ですが、そもそも歳をとると頭皮が生成する油分が減ってしまうので、歳をとってから始めて見る白髪は、それまで見てきた黒髪よりも乾燥しているように見えてしまいます。
「初めて生えた数本の白髪を抜いて見たとき、それが脆いと"感じる"でしょう(実際にそのようなことはありません)。」「継続的に髪の毛を抜くことで髪が縮れてしまい、毛包に関して歪められた(間違った)認識を持つことにもなっています。」と毛髪学者のGlenn Lyonsは説明しています。
白髪は染めづらい
髪を染めようと思ったとき、白髪が染まりにくいと感じることがあるでしょう。
「実際、ヘアカラーしにくい白髪もあります。」「もし当てはまる場合、色のレベルを落とすことを考えるか、もともとの髪の色よりも暗い色を使ってください。」と専門家のMadison Reedはアドバイスしています。
これは実際に染めたことがある人なら知ってのとおり、ヘアカラーの「白髪染め」は専用の染色剤が売られていますね。
白髪のことを正しく理解して付き合いましょう
最初に載せた「50-50-50の法則」のように、加齢により白髪は誰にでも生えてきてしまいます。白髪の最大の原因は加齢で、それは誰もが避けては通れません。。
このサイトで繰り返し書いていることですが、人のコンプレックスは常に金儲けのターゲットとして狙われています。
白髪についての知識を正しく持つことで、「白髪を見つけたら抜いたほうがいい」や「これを飲んで白髪が黒くなった」のような眉唾な話があったとしても、白髪のメカニズムからは説明がつかないことを理解できるでしょう。
一歩引いたところから情報を選別できることは、悩ましい白髪と付き合うための大切な一歩です。
加齢による白髪を本来の色に戻すというのは、残念ながら簡単ではありません。それ以外の要因の場合、その原因を取り除くことで色が戻る可能性はあります。
また、「白髪を黒髪に戻すこと」を目的にするのも一つですが、「白髪を増やさないようにする」という考え方もあるでしょう。
白髪に悩んでストレスを感じて白髪を増やすということがないようにしてください(それっぽく聞こえますが、これもストレスと白髪の因果関係からは正しくありません)。