気になって毎日・毎時間のように成果が発生していないかを確認してみたり、アフィリエイト・プログラムに参加すると初めのうちは金銭以外にも色々な楽しみがありますよね。
特に、「初めての提携承認」や「初めての成果報酬発生」の瞬間は、自分のサイトが世の中に認められた気がして喜びもひとしおです。他にも、少し審査の厳しいGoogle AdsenseやAmazonアソシエイトプログラムの参加承認もビッグイベントですね。
しかし、せっかく発生した待望の成果報酬であっても、多くの広告で全件承認される(確定報酬になる)ことはなく、思っているよりも多く却下(否認)されてしまうこともあります。
今回は、そんな発生ベースのアフィリエイト報酬が否認になってしまう理由と、それを少しでも減らす(承認率を上げる)方法をご紹介したいと思います。
私自身もアフィリエイターの端くれで、そもそも勤めている会社(東証プライム上場)ではアフィリエイトの各種ASPに広告代理店経由で広告主として出稿してた経験があります。
そのため、アフィリエイト広告の出稿判断・特別単価(特単)の決定・成果承認までを一貫して担当し、広告主側がやっていることやASPに寄せられるアフィリエイターの声も理解しています。任されていたWeb広告予算も月間1,000万円程度だったので、その規模の広告主が何をしているかの観点で見ていただくと良いと思います。
成果否認が発生する理由
まずは発生報酬が否認されてしまう理由です。各アフィリエイトのASPのFAQでも説明されていますが、これは簡単に以下の理由にまとめられます。
- 成果承認の条件に至らなかった場合
- 自分のサイトの後に他サイトのクリックがあった場合
- 広告主側の内部ルールに引っかかった場合
具体的な否認理由は細かく色々とあるでしょうが、大きく分けて上記の理由のどれかに必ず該当すると考えて良いでしょう。
成果承認の条件に至らなかった場合
これは成果発生(成果レポート掲載)と承認条件の違いによるもので、例えば「申込で成果発生して、実際の口座開設(成果地点)で成果承認」というようなケースがあります。この発生から確定までのステップが分かれている場合、発生から承認までのドロップ(離脱)も増えますし、発生から確定までのリードタイムも長期化します。
ただ、デメリットばかりでもなく、ステップが長い提携プログラムは成果報酬の金額も高くなる傾向があります。広告出稿側も競合との競争があるので、自社広告の掲載が敬遠されるような条件は可能な限り避けようとするのが理由です。
あとは、2019年からAppleを筆頭に強化を続けているITP(Intelligent Tracking Prevention)というトラッキングを制限する対応の技術的な制約もあります。簡単に言うと、クリックしてから成果発生地点までの時間が長い場合、その「クリックしたという履歴が消える」というブラウザの仕様です。これはOS含むアプリケーション側と広告業界のイタチごっこなので、動向を見守って対策についていくしかありません。
「ITP対応」とは何ですか? - ValueCommerce ヘルプ
自分のサイトの後に他サイトのクリックがあった場合
2つ目は、自分のサイトのアフィリエイト広告がクリックされて、クリックしたサイト訪問者がCookeなどの情報を保持していたものの、成果地点に到達する前までに他のサイトにある同じ商材のアフィリエイト広告などがクリックしていたケースです。
基本的に広告承認は「ラストクリック(ラストタッチ)」を有効とするため、最後にクリックされた広告を成果に貢献したとして承認(確定)します。自分のサイトより後にクリックされた他サイトの広告バナーなどが同じASPの場合、ASPが判断して後のクリックのみに成果を発生させます。しかし、異なるASPの場合、他サイトはもちろん自分のサイトにも成果が発生しますが、広告主はラストクリックの前者を承認して後者は否認されます。
極端な話、1個の成果承認に対して5個の成果発生があっても仕組的には不思議ではありません。基本的に1回の広告クリックでコンバージョンしているケースはレアで、1人のユーザーがコンバージョンまでには平均3つくらいの広告パラメータがあったりします。それだけ比較検討しているということですね。
広告主側の内部ルールに引っかかった場合
これが最も厄介で、成果承認作業をしていても「さじ加減一つだなぁ」と思っていたことで、実際に下記のような対応をする広告主もいるそうです。
- ラストクリックよりもポイントサイトを優先
- クリックから一定期間経過した場合は否認
- クリックから直接の成果発生以外は否認
上も一つの例でしかないのでしょうが、これの中には広告代理店の担当者も首をひねるような対応も含まれています。
ラストクリックよりもポイントサイトを優先
これは広告主からすると難しい問題で、ポイントサイト経由は利用者が自分にメリットがあるので、これが発生しないと利用者からASPや広告主に問い合わせやクレームに発生してしまいます。そのため、否認しても苦情などに発展しにくいアフィリエイトを否認して、ポイントサイトの成果を優先して承認するという選択肢が生まれるわけですね。
これはASP側も広告主の事情を汲んで問題視しない傾向があるようです。
クリックから一定期間経過した場合は否認
この否認に合理的な理由があるのかは判断が難しいと思いますが、一定期間経過によりアフィリエイトの成果としては認めないというケースです。
アフィリエイトバナーなどのクリックは Cookie に残るため、その有効期間(大体90日間)は広告掲載サイトの成果として認められるはずですが、自社で決めた期間以上経過した成果は「掲載サイトの貢献ではない」と判断しているという会社があるということです。これはアフィリエイター側では気付けないので、その広告の承認率の高い低いから判断することになります。
クリックから直接の成果発生以外は否認
これはアフィリエイターにとって最も悪質なケースです。広告クリックでランディングページに訪問したとして、そのセッションのまま寄り道せず成果地点に到達しないと成果として認めないという運用です(ダイレクト・コンバージョン以外は否認)。
アフィリエイト広告から広告主ページに行ってページを閉じて、その後に自然流入(検索エンジンから検索して訪問)からコンバージョンしても否認されてしまいます。これでは全くCookieを使う意味がないもので、GET(URLにパラメータを埋める)方式でも実現できる低レベルなトラッキングと変わりませんね。
これはASPの間に入っているネット広告の代理店も把握していますが、広告主に対してなかなか強くは言えないのが現状のようです。アフィリエイターとしても広告主の決めたルールとして飲むしかありませんが、こういう広告主の広告は承認率が低い傾向があるので「使わない」という手段で自衛してください。
成果否認を減らす方法
広告主だった身からすると、アフィリエイターが成果否認を減らすためにできる方法は多くありません。
- 評判の良くない提携プログラムに参加しない
- アフィリエイト広告のクリックから成果地点まで一直線に行ってもらう
できることがあるとしたら、これくらいしかありません。広告主とアフィリエイターは情報の格差が大きいので、この情報の非対称性を解消するのは承認率や口コミを見るくらいしかなく非常に困難です。
広告主側も悪評が立って有力な参加者がいなくなるのは困るので、基本的には健全な運営をしていると考えて良いと思います。ただ、大手以外のプログラムは事前に評判を調べた方がいいでしょう。
また、自分のサイトがラストタッチにならず他サイトに成果を持っていかれることによる否認に関しては、自サイトがラストタッチのコンバージョンになるように努力するほかはありません。他のサイトがラストタッチになるということは、自分のサイトが"最後の一押し"に至らず、別のサイトで申込・購入などのアクションを促された(背中を押された)ということです。
「なぜ成果にならないのか?」という照会がASPに入っていたりするようですが、基本的にASP・代理店が適当に(適切に)処理していて、基本的には広告出稿側に情報が上がってくることはありません。私の場合も年に数回もなかったと思います。ASPにクレームを入れることを否定はしませんが、ムダな時間を使っても仕方ないので、悪質な広告主は相手にしないほう良いでしょう。
最後に、いくつかのASPはピンハネしているようなことを書かれたりもしていますが、広告主側としてはどのASPでも全く問題を感じたことはありません。基本的に有名なアフィリエイトASPは信用して使って問題ないと思います。あとは言い訳せず、運営するサイトを改善することに全力を注ぐしかないでしょう。
成果が承認されるかの確認のために、自分で申し込んでみる人もいると思いますが、自己利用(自己購入)・セルフバックは広告主によっては許容していないケースがあります。いわれのないケチをつけられないように、認められていないような行為は行わないように気を付けてください。
自己購入(本人利用)・セルフバックがOK・NGなアフィリエイトASP
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成果承認後、最低出金金額と振込のタイミングも大手ASPを一覧にしています。どこも似通った内容になっていますが、一度確認しておいても良いと思います。
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